株式投資において、「空売りをした後になぜ配当落調整金を支払わなければいけないのか」と考えている人もいるのではないでしょうか。
結論を言ってしまうと、配当落調整金というお金を支払う必要があります。
空売りとは、証券会社から売りたい株式を借りて市場で売り、その株式を買い戻す取引にも関わらず、返却した株式に関わるお金をなぜ支払う必要があるのでしょうか。
今回の記事では、空売りをした後に支払わなければならない配当落調整金について説明していきます。
目次
配当落調整金とは、信用取引において、空売りする人が権利付最終売買日をまたいで建玉を保有している場合に、空売りした人がその株式を買い建てしている人に対して支払わなければいけない調整金のことです。
形式的には、配当金の支払いの対象が決まる日まで空売りせずに保有している空売り実行者が配当金を受け取ることになるのですが、空売り対象の株式の実質的な所有者は証券会社であり、実際には配当金を受け取る権利はありません。
反対に、株式を買い建てしている人は、購入した株式は借金の担保として抑えられているものの、証券会社からお金を借りて実際にその株式を購入しているので本来であれば配当金を受け取れると考えるのが自然でしょう。
そこで、配当金の支払時期に証券会社が間に入って、空売り実行者から配当金相当額を徴収し、買い建てしている人へ支払うことにより、3者間で配当金の会計手続きを行って買い建てした人が配当金相当のお金を受け取れるようにするのです。
配当落調整金がどのようなものであるのかについては上記で説明しましたが、実際に支払うことになる配当落調整金の額は以下のような計算式で行うことになります。
空売り実行者が配当落調整金を支払う際には、上記の計算式で計算された額を支払うことになるので、これらの事項についてしっかりと押さえておいてください。
配当落ち調整金の支払額が決まったとして、具体的にはいつ頃に支払われることになるのでしょうか?
配当金を支払う会社によって多少支払いスケジュールが変わってきますが、おおよそ配当金支払い企業の決算日の3~4ヶ月後に配当金が支払われ、配当金支払日より1週間前後経った後に買い建て人の口座へ振り込まれることになります。
空売り実行者は、支払期日までに不足額が発生しないように自身の口座管理をしっかりと行う必要がありますので、注意しなければなりません。
対象株式を保有していることによって受け取れるものとしては、配当金のほかに株主優待制度が挙げられます。
空売り実行者は配当金を実質的に受け取ることはできないことは上記で説明しましたが、株主優待ならば受け取れるのでしょうか?
結論としては、配当金の場合と同じく株主優待制度も受け取ることはできません。
そもそも、株主優待制度とは、株式を発行して上場している企業が配当金の支払いとは違う形で、株主に対し自社製品やサービスを提供し自社への投資のインセンティブを与える制度です。
そして、対象株式の実質的な所有者は証券会社になっており、空売り実行者に株主優待制度を受け取る権利がないことから、株主優待制度についても受け取ることができなくなっています。
空売りは上手く行けばリターンが大きな取引方法であると同時に、リスクも非常に高い取引方法でもあります。
空売りを検討している人は、リスクの高さと同時に、この記事で説明した事項についてもしっかりと押さえておいてください。