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空売りの銘柄の探し方とは?銘柄の買い時やメリット・デメリットを徹底解説

空売りでは株式を保有していなくても株式投資を始めることができます。一般的な株式投資と異なるので、初心者がいきなり手を出すと大きな損をする可能性もあります。

今回は空売りの銘柄の探し方を中心に、空売りの仕組みやメリット・デメリットについて解説します。

目次

空売りとは?

株式投資では手持ちの株式を売る「現物の売り」が一般的な手法です。しかし、手元に株を持っていない人でも株を「借りて売る」ことができます。

この場合、一定の期日までに株式を買って、株の所有者に返却します。

借りて売った株式と買い戻した株式の差額で利益を狙う手法が「空売り」です。

現物取引では、株の「買い」から入り、株価が上昇したら売却しますが、「空売り」では現在の株価が下落することが予想される場合に「売り」から入り、下落のタイミングで買い戻します。

ただし、株価の下落時に空売りをする投資家が増えすぎると、相場の急激な下落によって相場の混乱を招く恐れがあるので、上場銘柄では「空売り規制」が設けられ、直近の取引所の株価以下の値段での空売りが原則禁止されています。

空売りする銘柄とは値下がりが予測できる銘柄

空売りをするべき銘柄の探し方はとてもシンプルです。それは「今後値下がりが予測できる銘柄」です。

例えば、現在株価が1,000円の銘柄が1ヶ月後に800円まで下落すると予測したとします。この場合、株式を保有していなくても株価1,000円で株式を売却します。売却する株式は証券会社から借ります。

そして、予測通りに1ヶ月後に株価が800円まで下落した場合は800円で株式を買い戻し、証券会社に株式を返却します。この一連の取引によって1,000円-800円=200円の利益を得ることができます。

このように今後値下がりすると予測される銘柄を空売りすることによって利益を上げることができるという仕組みです。

「今後値下がりが予測できる銘柄」とは具体的には以下のような銘柄です。

  • 決算が悪い銘柄
  • 銘柄に関する悪いニュースが出た時
  • 相場全体が下がっている時

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

決算が悪い銘柄

決算が悪い企業の株式は値下がりが予測されます。企業の株式を購入すると株主の権利として配当金を受け取ることができます。

配当金は企業の利益から支払われるので、業績が良くなれば配当金は増額され、逆に悪くなれば配当金が減額されたり、停止される可能性もあります。

会社四季報では、企業の決算の予想が公表されますが、予想の時点で業績の悪化が見込まれる場合はたいていの場合、株価の下落が起こります。そして、実際に決算発表が行われ、決算内容が悪いと株価はさらに下落します。

これは配当金の減額によって株主であることのメリットが薄れたからであり、業績の悪い企業の株価は一度下がると右肩下がりで下落していきます。

したがって、決算の内容が悪いと予測される企業の株式を空売りして、実際に株価が下落したタイミングで買い戻しをすれば利益を得ることができるでしょう。

銘柄に関する悪いニュースが出た時

決算内容が悪い以外にも企業の株価が下落する要因があります。

例えば、企業に関するスキャンダルが発覚したときなどです。

有名な事例ではドイツの自動車大手Volkswagenの排ガス規制に関するスキャンダルが2015年にありました。

これはVolkswagen社が排ガスの試験の際に試験中だけ排ガスを低減する不正なソフトウェアを搭載していたことがアメリカの環境保護庁の調査で発覚した問題です。

このソフトウェアによって試験のときだけ排ガスの量を不正に少なくして、排ガス規制を不正にクリアしていました。

このVolkswagenの排ガス規制問題によって同社の株価は大きく下落しました。不正発覚前と比べて、一時は40%以上株価が下落し、当時の為替で約4兆5,000億円の時価総額が一瞬で吹き飛びました。

このように世界に名前が知られる大企業であっても企業のスキャンダル発覚によって株価は一気に下落します。

相場全体が下がっている時

個々の銘柄に関係なく、株式相場全体が下落傾向にある場合でも空売りのチャンスです。

株式相場と経済は密接に関連しており、好景気の際には商品やサービスが売れやすくなり、多くの企業の利益が増え、株式相場全体が上昇します。

逆に不景気になると、企業の活動は鈍化し、株価は下落します。

例えば、新型コロナウイルスの感染拡大が本格化する前の2020年1月時点ではアメリカの金融緩和によって世界的に株価が上昇しており、日経平均株価も2万4,000円台を回復しました。

しかし、新型コロナウイルスが中国から世界に波及した3月時点では1万6,000円台となり、わずか2ヶ月で3割の株安となりました。

このように株式相場全体が下落している場合も空売りのチャンスです。

リーマンショックやコロナショックの際には株価が一気に下落し、その後回復するので、回復前に買い戻すことが重要です。

空売りのメリット

一見するとリスクが高そうな空売りですが、多くの投資家が空売りに参入しているのは大きなメリットがあるからです。

一般的な空売りのメリットは以下の通りです。

  • 相場下落時でも投資できる
  • リスクヘッジができる
  • 短期で利益を得られる

それぞれのメリットについて詳しく解説します。空売りのメリットについて理解して、空売りにトライしてみましょう。

相場下落時でも投資できる

空売りの特徴は株式相場の下落時にも投資をして利益を得られる点です。

通常の現物取引では株価が安いときに購入し、株価が上昇したら売却することで売買価格の差額を利益とします。したがって、株価が下落している時期は投資を諦めるか、下落局面がくるまで「買い」を待つしかありません。

しかし、空売りであれば下落時に買い戻しをして利益を上げることが出来るので、相場の変動を待っているだけではなく、「空売りをする」という選択肢が増えることになります。

ただし、相場の下落が一時的な場合はすぐに回復する場合もあります。その場合には底値を掴むことが難しいので、早めに決断しましょう。

リスクヘッジができる

株価の下落局面でリスクヘッジができる点も空売りのメリットです。

現物取引では株価が下落すると含み損を抱えることになります。株価の回復を待てば損失は確定しませんが、損切りをした場合は損失が生まれてしまいます。

しかし、株価の下落局面で同時に空売りをすれば損失を抑えることができます。

つまり、株価の下落局面で含み損を抱えると同時に株式を買い戻すことで損失と利益が相殺され、実質的に損失は生まれません

保有株の下落時であっても株主優待がある場合や配当金が大きい場合は損失を確定させることを躊躇ってしまいますが、このように空売りをすることで現物取引で生じた損失を軽減することができます。

短期で利益を得られる

空売りは株価の下落局面で株式を買い戻すことで利益を得るという投資手法です。

複雑な仕組みのように思えますが、ベテランの投資家になると現物取引よりも空売りの方が利益を得やすいということもあるようです。

なぜなら、株価の下落時には投資家心理が不安になり、一般的に株価が上昇するスピードよりも下落すると株価の動きが早くなるためです。

実際にいわゆるアベノミクスの影響で2012年に株価が大幅に上昇した成長株の中にはその後、大きく株価を落とした銘柄が多くあります。このような銘柄は下落するときのスピードが早いので比較的短期間で利益を得ることができます。

また、1日で売買取引が完結するデイトレードや数秒から数分で取引が完了するスキャルピングの場合も空売りで利益を上げることができます。

一方で、利益と同時に損失も同じスピードで生じる可能性があるので、注意が必要です。

空売りのデメリット

株価の下落時に一気に利益を上げることができる空売りは投資家にとっては魅力的な手法です。

一方で空売りにリスクがないというわけではありません。実際に多くの投資家が空売りに失敗し株式市場からの撤退を余儀なくされています。一般的な空売りのデメリットは以下の通りです。

  • 価格上昇リスクが大きい
  • 無限大の損失の可能性がある
  • 諸費用がかかる

空売りをする場合にはリスクを理解したうえで行うことが重要です。それぞれのデメリットについて詳しく見ていきましょう。

価格上昇リスクが大きい

空売りは株価の下落局面で株式を買い戻すことで利益を得られるという仕組みですので、空売りを行った後に株価が上昇すると上昇した分だけ損失を被る可能性があります。

たとえば、現在の株式価格が1,000円の銘柄が500円になると予測して空売りをしたとします。

当初は1,000円-500円=500円の利益が得られると予測していましたが、実際には株価が上昇し、2,000円まで上昇したとするとどうでしょうか。

株価の上昇の結果、2,000円-1,000円=1,000円の損失が生じます。

さらに株価が上昇した場合は上昇した分だけの損失が生じることになります。

このように予想に反して株価が上昇した場合は損失が生じる点に注意が必要です。

無限大の損失の可能性がある

空売りの最大のリスクは理論上は損失が無限大になる可能性があることです。

例えば、ある株式を1,000円で購入したとします。現物取引の場合は損失額は株価が0円まで下落したときに1,000円が最大の損失額です。

空売りの場合は株価が500円になれば1,000円-500円=500円の利益を得ることができますが、反対に株価が2,000円になった場合は1,000円の損失です。

しかし、理論上は株価は上限なく上昇しますので、3,000円、4,000円と株価が上昇するほど損失も膨れ上がります。

このように株価の上昇局面では損失が理論上は青天井となるため無限大の損失の可能性があります。

損失を回避するためにも事前に損切りのラインを決めておくことが重要です。

諸費用がかかる

空売りは証券会社に開設した証券口座を通じて行います。

空売りをする際には証券会社に以下の諸費用を支払う必要があります。

  • 売買委託手数料
  • 信用金利
  • 貸株料
  • 品貸料

売買委託手数料とは株式の売買を証券会社に委託する際に発生するものです。これは基本的に現物取引であっても発生します。

信用金利とは証券会社から資金を借りる際に発生するコストです。

貸株料とは証券会社から株を借りるための費用で、空売りに特徴的なコストです。

品貸料とは貸株料とは別にかかる株を借りるための費用です。なぜなら、証券会社で株式が不足した場合、機関投資家などから株式を借りる必要があります。その際に機関投資家などに支払う手数料が品貸料です。

このように空売りでは現物取引で発生するコストにプラスアルファで費用が発生します。

まとめ

現在の株価が下落することが予想される場合に「売り」から入り、下落のタイミングで買い戻すのが空売りです。

空売りを仕掛ける際には「今後値下がりが予測できる銘柄」を見極めることが重要です。決算が悪い銘柄、銘柄に関する悪いニュースが出た時、相場全体が下がっている時に空売りを仕掛けるときに大きな利益を狙うことができます。

このように空売りは、株式相場の下落局面でも利益を狙える取引方法です。空売りをする時は、株価変動による損失のリスクも踏まえて上で取引をしましょう。

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