株式投資にも複利効果によって長期的なリターンを狙う長期投資や短期間での利益を狙う短期投資があります。
今回は短期投資の方法として一般的に知られているデイトレードよりも、さらに短期間で売買を行うスキャルピングについてご紹介します。
スキャルピングの勝ち方やメリット・デメリットを解説します。
目次
「スキャルピング」という言葉は聞き慣れない言葉ですが、英語では”scalping”と表します。
”scalp”という言葉には「敵の頭の皮を薄く剥ぐ」という意味がありますが、投資の世界では短期間で高頻度な売買を繰り返し、小さい利益を積み重ねるという意味があります。
デイトレードが売買取引を1日かけて完結させるのに対して、スキャルピングはポジションの保有と売却までを数秒から数分単位で行う超短期投資手法です。
短期投資投資の中でも最も短期間で取引を完結させるので得られる利益も小さくなりますが、1日に100回以上もの取引を重ねることによって薄利が積み重なって、利益を獲得します。
一方で、1回当たりの利益が極めて小さくなるので、信用取引を用いてレバレッジを掛ける投資家も少なくありません。
超短期投資と言われるスキャルピングですが、スキャルピングのメリット・デメリットは一体なんでしょうか?
メリット・デメリットを把握することで、メリットを最大限活かし、またデメリットを最小限に抑えて、スキャルピングで「勝つ」方法を確立することができます。
多くの投資家がスキャルピングに参戦しているのは大きなメリットがあるからです。
スキャルピングのメリットを理解して、利益を得るために活かしましょう。一般的なスキャルピングのメリットは以下の通りです。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
短期の株式投資においてデイトレードなどと比べるとスキャルピングは難易度が低くなります。
スキャルピングは数秒から数分単位でポジションの保有と売却を繰り返すのに対して、デイトレードでは1日単位となります。
株式相場は様々な外部環境によって影響を受けますので、1時間や6時間、12時間先の株式相場を読むことは難しいですが、数秒や数分であれば外部からの影響が少なくなりますので、相場の上下を読むことは難しくありません。
得られる利益は少ない一方で、利益を得られる確率が高いのがスキャルピングのメリットと言えるでしょう。
スキャルピングは数秒から数分で取引が完結する超短期売買ですので、取引時間を限定することができます。
通常の株式投資では企業の業績を分析して、金融市場をずっと注視する必要がありますが、スキャルピングであれば一定の時間だけ取引に集中して、1円でも利益を確定できれば勝ちです。
株式投資では保有している銘柄の株価が下落基調にあるときの精神的負担は大きいものですが、スキャルピングであればストレスをかけずに短期勝負で済みます。
取引の手軽さから多くの投資家が参戦している市場です。
スキャルピングは超短期間に取引を繰り返しますので、成果が上がるほど短期間で大きな資産を築くことができます。
実際に「ジェイコム男」のようにスキャルピングで大きな資産を築いた方もいます。彼はジェイコム株の大量誤発注事件に乗じて、スキャルピングを実施し、20億円で決済をしました。
このように順調に行けば資金効率が極めて良いのがスキャルピングの特徴です。
スキャルピングは超短期投資ですので、会社員が片手間に参戦できます。したがって、多くの投資家から人気を集めていますが、デメリットがないわけではありません。
デメリットや注意点をしっかり認識することによって「負け」を回避することができます。
一般的なスキャルピングのデメリットは以下の通りです。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
スキャルピングは数秒先や数分先の相場を読めばいいので勝率は比較的高いです。
しかし、数秒間に変動する株価は僅かなものですので、一回当たりの利益が小さくなります。薄利多売の取引ですので、何度も取引をしないといけません。
したがって、取引にあたって相当のメンタルが必要になります。特にポジションの売却のタイミングを逃すことは絶対にあってはならないので、集中力を高く保っておかないといけません。
これを何回も成功させないと大きな利益を得られないのです。
株式相場は絶えず変動しています。その僅かな変動を捉えてポジションの保有と売却を繰り返すのがスキャルピングですので、変動に対応できる高機能のPCや投資ツールが必要です。
パソコンのモニターを複数設置して、チャートを分析しながら、売買取引を行います。モニターの数は扱う銘柄数によってさらに増えます。
また、1分単位の株価の動きがわかる詳細チャート機能の付属した投資ツールも必要です。
このように初期段階で高性能の設備が必要になりますので、初期費用がかかります。
その一方で薄利多売の取引ですので、初期投資を回収するには時間がかかるでしょう。
機関投資家とは個人投資家の拠出した資金を株式や債券で運用する団体のことを指し、生命保険会社、損害保険会社、信託銀行、証券会社、普通銀行、信用金庫、年金基金、共済組合、農協、政府系金融機関などを指します。
機関投資家は基本的に短期の売買は行いませんが、資産のリバランスのタイミングによって株式相場に影響を及ぼします。
また、証券会社の場合は自社でも運用を行っておりますので、他の機関投資家よりも高頻度で株価の変動要因となります。
これら機関投資家は莫大な資金を市場に投資していますので、個人ではその動きに逆らえません。
機関投資家が相場に影響を与える段階で流れに身を任せましょう。
これはスキャルピングだけではなくデイトレードにも共通する注意点ですが、手数料が高くなりがちです。株式の売買注文は証券会社を通じて出されますが、注文を出す度に証券会社に手数料を支払います。
スキャルピングの場合は数秒から数分でポジションの保有と売却を繰り返し、取引回数が多いので、手数料がかさみます。
1回当たりの手数料は小さくても利益も小さいので手数料分だけ利益が相殺されます。
しかし、証券会社によってはスキャルピングやデイトレードを行っている投資家向けに手数料の定額コースを導入している場合があります。
このような定額コースを利用して手数料を抑制しましょう。
それではスキャルピングのメリット・デメリットを踏まえて、「スキャルピングで勝つにはどうすればいいのか」について見ていきましょう。
超短期売買、高い勝率などの特性を最大限に利用することで勝つことができます。
結論としてスキャルピングで勝つ方法は以下のとおりです。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
スキャルピングは超短期売買ですので、短時間の間に価格変動が大きいほど有利です。価格変動が大きければ底値と高値の差が激しくなり、その分利益を獲得できるからです。
したがって、取引を始める際には価格変動が大きい銘柄を選ぶようにしましょう。
それでは、価格変動が大きい銘柄とは具体的にどのような銘柄でしょうか?
それぞれについて解説します。
取引量が多いほど流動性が高く、価格変動が大きいと予想できます。取引量の多さについては時価総額や上場している市場に注目してみましょう。
時価総額については少なくとも500億円以上ないと難しいでしょう。時価総額が小さいと取引量が少なく、高頻度で売買をしても底値と高値の間があまり開きません。
証券会社のホームページなどで売買出来高ランキングを調査して、活発に売買が行われている銘柄を探してみましょう。
また、市場は東証一部上場の銘柄の方が取引量は大きくなります。東証一部上場企業は知名度が高く、多くの投資家の目を引きます。
また、証券会社のディーラーは1つの銘柄に注目してトレードを行っています。
彼ら機関投資家によって相場が左右されることを考えると、東証一部上場の1銘柄で勝負をかけるのもよいでしょう。
時価総額が小さかったり、東証一部上場企業でなくても速報ニュースなどで話題に上がった企業の株価は大きく変動します。
例えば、新技術や新商品を開発して、ニュースで取り上げられた場合などはその日の人気株となって上がりやすいです。
市場が開いた時点でポジションを保有して、すぐに売却する、を繰り返すことで利益を狙えるかもしれません。
IPOとは株式市場に上場することを言います。
IPOに上場する前から注目が集まっている銘柄は上場後すぐに取引量が増大する傾向にあるので、価格変動幅も大きくなります。
スキャルピングを行う際には複数の銘柄を取引するのではなく、一つの銘柄に集中しましょう。
数秒から数分単位でポジションの保有と売却を繰り返すスキャルピングでは絶好の売りのタイミングを逃さないことが最も重要です。
複数の銘柄を同時に保有するとそれぞれの絶好のタイミングを逃しかねません。
しかし、一方でリスク分散の観点から一つの銘柄に集中するのは不安だという方もいらっしゃるかもしれません。
確かに集中投資は損をする時には一気に損失が拡大します。
リスク分散を考慮する場合なら最大で3銘柄程度であれば同時に取引を行ってもいいでしょう。
スキャルピングは株価の底値で買って、高値で売ることで利益を獲得しますので、価格変動幅が大きいことが重要です。
したがって、取引が活発な時間帯にポジションの保有と売却をするようにしましょう。
一般的には
①寄り付き
②前場引け直前
③後場寄り
④大引け直前
の4つのタイミングが最も取引が活発になりやすいと言われています。
この4つのタイミングでポジションの保有と売却を行いましょう。
また、銘柄によっては決算の発表時間などが重なり取引参加者が増えるタイミングがあります。その場合も取引量が増えるタイミングを狙いましょう。
順張りとは買いの注文が増えて、株価が上昇基調にあるときに買って、売り注文が増えて、下落基調になると売るという投資スタンスです。
「順」張りという言葉からも連想できるように株価のトレンドに投資スタンスを合わせる方法です。
最も狙い時は「ブレイク」です。つまり、大きな売り指値のタイミングや高値を更新しているタイミングで買い注文を入れます。
チャートを見て、雰囲気を観察して、ブレイクのタイミングを掴みます。そして、ブレイクの前にポジションを保有して、ブレイク後に売り注文を出して、安全に処理ができます。
もし、ブレイクがなければ、損切りをすれば損失を最小限にできます。
逆張りは順張りの逆です。売り注文が増えて、下落基調になるとポジションを保有して、買いの注文が増えて、株価が上昇基調にあるときに売却するという投資スタンスです。
相場の流れに逆らっているように見えますが、短期の投資では圧倒的な勝率をもたらします。
おそらくスキャルピングの経験がある方は逆張りの方がイメージしやすいでしょう。
逆張りの方法としては事前に底抜けの位置を予想し、指値注文を出しておきます。ポジションの保有に成功したら、今度は高値に売り指値を設定します。これが実行されれば勝率はかなり高くなります。
一方でこの手法だと指値にかからない、つまり予想した位置まで株価が下がらずに注文が入らないことが多々あります。いわゆるオーバーシュートという行き過ぎた変動が起こらないと土俵にすら立てないという事態になります。
しかし、その代わり予想通りに相場が動けば確実に勝てます。
スキャルピングには様々な勝ちパターンがあります。短期売買では「運」がほとんどだという話もありますが、銘柄選び、取引の時間帯選びなどを慎重に行って戦略的に勝っている投資家は大勢います。
一方でスキャルピングの世界ではほとんどの投資家が結局は退場してしまうとも言われる厳しい世界です。
「必ず勝てる」という法則があるわけではありませんが、スキャルピングについてしっかりと理解して、自分なりのルールを作ることが重要です。
様々なルールを試して、最も勝率の高いルールを採用して、それを厳格に守ればスキャルピングトレーダーとして成功できるでしょう。