スキャルピングは、取引回数を多くして、利益を積み上げていく投資手法です。
しかし、あらかじめ損切りラインを決めておかないと、大きな損失につながるでしょう。
損切りのラインは、金額や割合、利確幅をもとに決めることができます。
この記事では、スキャルピングで損切りが重要な理由と、損切りルールの紹介をしていきます。
目次
株式投資をしているほとんどの方は、損切りという言葉を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
損切りは、株価が予測と反した値動きを示したときに、生じている損失を確定してしまうことです。
投資経験がどれだけあるトレーダーも、数年分の値動きをすべてインプットしているAIも、将来の値動きを100%予測することは困難です。
そのため、エントリー時の予測に反して、時として大きな損失を被るときがあります。
そうならないための対策として、損切りは効果的なのです。
損切りは、短期投資において非常に重要な概念です。
特に、取引期間が短いスキャルピングにおいて、損切りが重要になる理由は、大きな損失を回避できることと、次のエントリーに向けての資金を用意できることの2つがあります。
それぞれ詳しく解説していきます。
損切りを行うことで、資産形成の致命傷となるような大きな損失を回避することができます。
みなさんは、「コツコツドカン」という言葉を知っていますか?
コツコツ貯めた利益や資産を、1つの取引でドカンと失ってしまう様を表現した言葉です。
短期間での少ない利益を積み重ねていくスキャルピングは、まさにこの「コツコツ」という言葉に該当するでしょう。
「ドカン」とやられないためにも損切りを行い、致命傷を避けて長く続けることで、利益を積み上げていくことができる可能性は一段と高まります。
損切りによる大きな損失回避は、中期的な視点で見ても合理的であると言えるでしょう。
値動きが予測に反して動いてしまったとき、損切りを行うことで手元の資金を、その時の価格で残しておくことができます。
そもそもスキャルピングは、短期間で取引を複数回行うため、資金の流動性が非常に高い投資手法です。逆に資金がないと、利益も小さくなってしまいます。
損切りは、大きな損失を被ることによる、手元の資金の減少を防ぐことができます。
結果として、損切りによって一定数の損失は出るかもしれませんが、次のエントリーの資金を残すことができるのです。
資金の流動性が高いスキャルピングにおいて、損切りは次の取引につながる重要な対策となるのです。
実際に、損切りのルールとして採用されている、基準になる数値や比率は、主に以下のようなものがあります。
ここからは、それぞれの紹介をしていきます。
損切りのルールを決めるときに、損失許容金額を明確に設定しておくことで、一つの指標となります。
一般的に、1回の取引で許容できる損失は、「2%ルール」が採用されています。
資産全体に対して2%以上の損失が出た場合に、そのタイミングで損切りをするというのがこのルールですが、人によって大きく許容額は変化する場合があります。
例えば、スキャルピング以外で安定的な資産運用をしていて、余剰資金のみを投下している場合、その人の損失許容金額は大きくなるでしょう。
一方で、十分とは言えない資産額の中、スキャルピングで生計を立てているような人の、損失許容金額は小さくなることが予想できます。
いずれにせよ、エントリーの前に、「今回の取引で損失が〇〇万円出たら、損切りをする!」と損失許容金額を決めておく方法が効果的です。
損切りを行う指標として、過去の下落幅を採用することも一つの選択肢です。
以下のチャートを見てください。
これは、スキャルピングでターゲットにされることの多い、株式会社ランドの株価の推移を示したものです。
期間は2022年の1月中旬から3月初頭、5分足チャートで設定しています。
過去の値動きに注目すると、多くの期間で1円単位のボックス相場を示していることが分かると思います。
上昇相場に転じると期待してエントリーした場合で、意図に反して損失が出てしまった時、保有して損失を相殺するよりも、損切りをして資本を回収した後に、新しいボックス相場で再エントリーをして、利益を重ねたほうが合理的でしょう。
スキャルピングでは、予定している利確幅から逆算して損切りラインを決めることもできるでしょう。
一般的に、利確幅と損失幅は2:1で設定することを推奨しています。
理由としては、損失を小さくして利益を生み出すためです。
スキャルピングは、チャート分析によって勝率を上げることができますが、何も知識や経験がない状態で始めると、「上がる」と「下がる」の2択に収束します。
この場合、勝率が50%だとして利確するラインより、損切りラインを半分に設定しておくことで、利益を積み上げる可能性を高めるのです。
スキャルピングの過去の勝率から換算して、損切り幅を決めることも効果的です。
例えば、スキャルピングの勝率が50%の場合、利益幅と損失幅を同じ金額で設定すると、利益は生まれません。
このようなときは、損失幅を利益幅よりも小さくすることで、利益を生み出します。
一方で、勝率が75%の場合、利益幅と損失幅を同じ金額で設定しても利益は生まれるでしょう。
このように、過去の勝率から換算して損切りするラインを決めておくことで、スキャルピングで利益を残せるようになる可能性があります。
スキャルピングで損切りをするときには、大切にするべき3つのポイントがあります。
それぞれ解説していきます。
資産を守り、利益を生み出すために、損切りのルールを作ったとしても、守らなければ何の意味もありません。
そもそも人間には、ネガティブな物事を後回しにする傾向があります。
予想に反した値動きによって、スキャルピングで損失を出してしまった時に、「もう少し待てば、また上がるだろう…」と希望的観測をしてしまいがちなのです。
しかし、実際には投資家の感情ではなく、ルールに従った投資こそが良い成績をたたき出します。
損切りルールを定期的に見直すことはいいですが、感情に任せてルールを無視した強欲を出すことには注意しましょう。
スキャルピングのエントリーをするときに、同時に損切り注文を行うようにしましょう。
そうすることで、「もうちょっと待ってみよう…」というような、感情が生まれるのを防ぐことができます。
投資開始時の戦略を一貫することが、利益を積み重ねることへの近道となるでしょう。
スキャルピングを行うときは、楽観的な視点を持つことをおすすめします。
理由は、スキャルピングで完全に価格の推移を予測することは、誰にとっても不可能だからです。
むしろ、「今回はしょうがない」「次の取引で頑張ればいいや!」と心の余裕を持つことで、当初の戦略に従って冷静な判断ができるでしょう。
スキャルピングは、取引回数を多くして、利益を積み上げていく投資手法です。
しかし、あらかじめ損切りラインを決めておかないと、大きな損失につながるでしょう。
損切りのラインは、金額や割合、利確幅をもとに決めることができます。
あなたのリスク許容度や投資経験をもとに、最適な損切りルールを作って、スキャルピングで利益を生み出していきましょう。