「空売りの銘柄選びの基準が分からない」
このような人は多いようです。
株では取引方法に適した銘柄を選ぶ必要がありますが初心者ですと難しいかもしれません。
そこでこの記事では空売りの銘柄選びのポイントを分かりやすく解説。
たった6つのポイントを知るだけで空売りの銘柄をどう選んで良いのかが判断できるようになります。
目次
空売りの銘柄選びで基準となるのは以下の6つです。
空売りの銘柄選び方の基準
上記6つに当てはまる銘柄は下降する可能性がありますので空売りに適しています。詳しくは次章でご確認ください。
下降トレンドが発生している銘柄は今後も下落が続きやすく、最も空売りに適しています。
下降トレンドとは以下のような下落が続いている相場です。
トレンドは継続する傾向にあります。このため、今後も下落する可能性が高くなり空売りするのに向いているのです。
下降トレンドの判断が難しい場合は「ダウ理論」で判断するのがおすすめになります。
ダウ理論とはアメリカの投資家である「チャールズ・ダウ」氏が発案した理論でトレンドを以下のように判断します。
ダウ理論でトレンドを判断する基準
下降トレンドであれば、以下のように高値が前回の安値を切り下げながら下降するという相場です。
また、移動平均線を利用してトレンドを判断することもできます。
上記のチャートのように
という3つの上限を満たせば下降トレンドが発生していると判断して良いです。
上昇トレンドが崩れている銘柄の場合、今後トレンドが転換して下落相場になる可能性があります。
上昇トレンドが崩れているというのは次のような相場です。
上記のように上昇が鈍化してレンジになっているのが特徴です。さらに「高値が直近の安値を超えられない」と明確なトレンド転換のサインとなります。
上記のように高値が直近の安値を超えられないとダウ理論ではトレンド転換のサインです。
よって、トレンド転換と見なした投資家が売り仕掛けをしてきますので上昇トレンドが終了し、下降トレンドになる傾向があります。
重要な底値を割りそうになっている銘柄にも注目したいです。
重要な底値とは「キリ番」と「何度も反発している価格帯」になります。
キリ番は100円や500円などのキリの良い数字です。こうしたキリの良い数字を割ると株価が一気に下落することがあります。
何度も反発している価格帯というのは以下のようなものです。
上記のような価格帯には沢山の買い注文が入っています。それによって買い支えが発生しているのです。
そのため、ブレイクアウトが発生すると買い支えていた投資家が損切りの売り注文を出します。それに加え、重要な底値を割ったから下落すると判断した投資家が新規の売り注文を発注します。
「買いの損切り注文+売りの新規注文」と2つの売り注文によって下落が発生しやすくなるのです。
信用倍率が高い銘柄にも注目しておきたいです。
信用倍率とは信用買いと信用売りの比率を表す指標です。
「信用買い残÷信用売り残」で計算されます。
例えば、信用買いが100万株で信用売りが10万株であれば「100万株÷10万株=10」となり、信用倍率は10です。
信用倍率で何が分かるかと言いますと「買いと売りの過熱感」です。
信用倍率が高いほど買われ過ぎとして売りに適したと銘柄とします。逆に低くなるほど売られ過ぎとして買いに適した銘柄とします。
このため、信用倍率が高い銘柄ほど空売りに適した銘柄だと判断できます。
スキャンダルや業績悪化が発表された銘柄は売りが増えやすいです。
株価が下落する原因で一番多いのがスキャンダルや業績悪化だからです。
このため、悪材料が出た銘柄を空売りしてみるのもおすすめです。
配当金額が減った銘柄は売りが増えやすくなります。
配当金額が減ると株を保有するメリットが減るからです。
また、「配当金額が減ったのは業績が悪化したからなのでは?今後、悪材料が出て株価が暴落するかも」と警戒して保有株を手放す投資家がいるのも売りが増加する理由のひとつです。
空売りするときは銘柄だけでなく、相場全体が売りに適しているかを確認するのも大事です。
そこで役に立つのが「騰落レシオ(とうらくレシオ)」になります。
騰落レシオとは、株式市場の過熱感を見る指標です。
いわゆる「買われ過ぎ」と「売られ過ぎ」が数値で分かる指標になります。
騰落レシオでは東証一部の銘柄から値上がり銘柄数と値下がり銘柄数を利用し、市場の過熱感を%で表示します。
設定値は25日間と5日間が一般的に使用され、25日であれば「25日騰落レシオ=25日間の値上がり銘柄数の合計÷25日間の値下がり銘柄数の合計×100」で算出します。
例えば、25日間の値上がり銘柄数の合計が1,000で25日間の値下がり銘柄数の合計が800なら、「1,000÷800×100=125」となり、騰落レシオは125%です。
騰落レシオは100%が中立であり、100%を超えると値上がり銘柄のほうが多いことを示し、120%以上ですと過熱気味と判断されます。それに対して70%以下になると売られ過ぎとなり底値圏であると判断されます。
このため、空売りをするときは騰落レシオが100%を超えているときが望ましいです。
株では空売りできない銘柄があります。
それは「信用規制」のある銘柄です。
信用規制とは、極端な買いや売りが入るなどして相場が加熱し過ぎた場合、それを抑えるために規制をする措置です。
この信用規制が入った銘柄は信用取引ができなくなることがあり、空売りも不可能になります。信用規制が原因で空売りができない場合は規制が解除されるのを待つしかありません。
空売りは信用取引であるため、「レバレッジ」をかけることができるため現物取引よりもリスクが高いです。
レバレッジは「てこの原理」を指し、保証金以上の取引をできることを指します。最大で保証金の約3.3倍の取引が可能です。
損失額が大きくなりやすく場合によっては「追証(おいしょう)」になり、借金を背負う可能性もあります。
追証とは口座資金がマイナスになることです。マイナス分は証券会社に支払わないといけません。
このため、以下の3つのポイントを抑えておきましょう。
空売りではこの3つに注意
詳細は次章でお伝えしています。
空売り時には損切り注文を必ず入れるようにしましょう。
売りの場合は損失額に限界がないからです。
買いであれば株価が0円になったとこでそれ以上の下落はありません。よって、損失額には限度があります。
それに対して売りの場合は天井がないです。100円だった株価が1,000円、1万円、10万円と上昇してしまう可能性もあります。
このため、損切り注文を発注しておき損失額を限定しておく必要があります。
空売りの場合は思惑どおりにいかないならすぐ撤退することも大事です。
決済期限が決められているからです。
空売りは決済期限がありその日までに決済しないといけません。
期限は原則6ヶ月です。
よって、思惑どおりにいかないならすぐ損切りしたほうが良いです。
「待っていれば相場が回復するかも」と思うかもしれませんが保証がありません。相場が回復せずに決済期限が来てしまい大きな損失を出す可能性もあります。
そうなるよりも早めに少ない損失額で確定させ、次のチャンスに備えたほうがずっと良いです。
空売りするときはその銘柄に「逆日歩」が発生していないか確認しましょう。
逆日歩とは空売りしている投資家が証券会社に支払うコストです。
空売りは証券会社から株を借りる取引方法ですが、証券会社が貸せる株には限界があります。貸せる株が無くなった場合、証券会社は他所から借りてきます。そのときにレンタル料を支払っているのです。
このレンタル料は投資家が負担しなくてはいけません。
よって、逆日歩のある銘柄を保有しているとそれだけでコストが発生するのです。
また、逆日歩のある銘柄は「踏み上げ」狙いの買いが起きやすい傾向にあります。
踏み上げとは売り手の損切りを巻き込んで株価が上昇する現象です。
売り手の損切りは買いですので株価を上昇させる効果があります。それを狙って仕掛けてくる投資家もいるのです。
空売りをする際の銘柄選びでは以下のポイントを重視します。
上記のような特徴がある銘柄は株価が下落しやすいため空売りに適しています。
また、「騰落レシオ」で空売りに向いた相場なのかを確認しておくのも大事です。騰落レシオを確認すれば、相場の過熱感を数字で見ることができるからです。
なお、実際に取引するときは以下の3つにも注意してください。
空売りは信用取引であるため現物取引よりもリスクが高いです。損失額に上限もないため、リスクを抑える措置をとっておくことが大事です。