株には「不成(ふなり)」という注文方法があります。
不成注文は知っておけばとても便利なのでぜひ理解しておきたいです。
そこでこの記事では不成注文について詳しく解説。
どのような注文方法なのか、メリット&デメリット、使い方、注意点などをお伝えしていきますのでお読み頂ければ、不成注文をマスターすることが可能です。
目次
株の不成とは「指値」で出した注文が引けまでに約定しなかった場合、「引け」の株価で成行注文として執行される注文方法です。
指値と引けとは
例えば、現在の株価が100円で不成を利用して97円に指値注文を出したとしましょう。
しかし97円では注文が成立せずに99円で引けとなったとします。
この場合、99円で成行注文として執行されるのです。
引けには「前場引け」と「後場引け」の2種類があります。
不成注文を出す時間によってどっちの引けの価格で約定するか異なるので気をつけておきましょう。
前場引けというのは午前11時30分のことです。
前場である午前9時~午前11時30分に出した不成注文は指値で約定しなかった場合、午前11時30分の成行注文として執行されます。
後場引けは午後3時のことです。
後場である午後0時30分~午後3時に出した不成注文は指値で約定しなかった場合、午後3時の成行注文として執行されます。
このように不成注文を発注した時間によって注文の有効期限が異なり、前場引けと後場引けどっちの成行価格で執行されるか違ってくると知っておきましょう。
ここからは、不成注文のメリットとデメリットをお伝えしていきます。
不成注文を使いこなすにはメリットとデメリットを知っておくことが必須ですのでご確認ください。
不成注文のメリットは「どうしても買いたいけど成行で買うのは高すぎる」というときに便利な点です。
小型株や中型株ですと買値と売値が離れていることがあり、成行で買うと割高になってしまうケースがあります。
上記の現在の株価は500円です。このときに例えば成行で100株買おうとすると540円で約定してしまいます。しかし、不成注文を出しておけば引け値で約定させることが可能です。仮に引け値が499円なら499円で約定します。そのため、取引時間中に成行で注文するよりも安く約定させられる可能性があるのです。
また、ほぼ確実に約定させられるという点もメリットです。
不成注文は指値か引け値で約定しますので設定しておけば、どちらかの価格でほぼ確実に買うことができます。
デメリットは引け値で大きく動いてしまう可能性です。
不成注文を出したあとに株価が大きく上昇して引けの価格が高くなってしまうこともあります。
例えば、100円の株に「今日は動いても105円くらいまでだろう」と想定して不成注文を出したとしましょう。しかし、想定を外れて大きく上昇して110円や120円で引けとなることもあるのです。
もし指値での注文が約定されない場合、大きく上昇した引けの株価で注文が執行されます。このため、想定よりも高い株価で買ってしまうことになるのです。
不成注文を使用する場面はメリットのとこでも解説したとおり、「今日中に買いたいけど今すぐ成行で注文を出すのは高い」というようなケースです。
例えば、今日中にどうしても買いたい株があり、買いたい株価が980円だとします。
しかし、980円に指値を入れても買えるか分からないし、今すぐ成行で買うと1,300円になってしまい高すぎる。現在の様子を見ると1,000円程度で引けとなりそう。不成注文はこのような状況で使用するのです。
買いたい株価:980円 成行注文の株価:1,300円 引けの予想価格:1,000円程度 |
上記のようなケースで不成注文を使用すれば、980円で買えなかったとしても1,000円程度で買える可能性が高いです。そのため、すぐに成行で買う場合よりも買値を抑えられ、なおかつ当日中に買うことができます。
不成注文を入れておけばほぼ確実に約定する可能性が高いですが、そうならないケースもあると知っておきましょう。
それは「ザラ場引け」が原因となり引けで値がつかなかった場合です。
不成注文の執行条件は引けで値がつくことですのでザラ場引けが起こると約定しません。
詳しくは次章でお伝えしています。
ザラ場引けとは引けで値段が付かずにザラ場の株価で取引終了することを指します。
ザラ場というのは株式市場の開始時間から終了時間を指し、前場なら「午前9時~11時30分」、後場なら「12時30~15時」です。
通常なら取引終了時間の引けで値がつくのですが、以下の2つが起こるとそうならないのです。
引けで値がつかない2つの原因
引けの時間に成行注文が無いとザラ場引けになります。
取引数量の少ない銘柄で稀に起こるパターンです。取引数量の少ない銘柄は引け時に誰も注文を出さないこともあります。
特別気配は「更新値幅」の範囲外で注文が発生したときに発生する措置です。
株式市場では株価の更新値幅が次のように決められており、その範囲外の注文が出されると特別気配となり制限がかかるのです。
株価 | 更新値幅の限界(上下) |
---|---|
200円未満 | 5円 |
500円未満 | 8円 |
700円未満 | 10円 |
1,000円未満 | 15円 |
※株価が1,000円未満までのケースとなります
例えば、株価が700円以上1.000円未満であれば更新値幅の限界は15円です。
よって、30円など15円以上の更新が必要となる注文が発注されると特別気配となります。
その後は更新値幅の範囲内で価格が動くように調整され、買いと売りの注文が拮抗するところで売買を成立させるのです。もし引けまでに売買が成立しなければザラ場引けとなります。
株の不成注文は「指値」で出した注文が引けまでに成立しなかったとき、引けでついた株価で成行注文として執行されるというものです。
このため、「当日中に買いたい銘柄があるけど今すぐ成行で注文すると高値になってしまう」というときに役立ちます。指値か引け価格のどちらかで約定しますので当日中に買うことが可能です。さらに通常の成行注文よりも有利な株価で執行される可能性もあります。
ただし、成注文を出したあとに株価が大きく動くこともあるので注意です。
その場合は不利な株価で約定することがあります。そうしたことから、不成注文を使うときは引けの株価がどうなるかを予想することも大事です。