よく聞く「株の売買代金」は市場の傾向や個別銘柄の動きを確認する上でも用いることもあり、比較的簡単に入手できる情報でもあります。
つまり、わかりすい指標であるためにトレンドの判断材料として活用できます。
本記事では世間の関心が高い企業が株の売買代金上位をしめるを理由と紐解き、実際に出来高の急増した個別銘柄をチャート共にチェックします。
目次
まず最初に世間の関心が高い企業(個別銘柄)が売買代金の上位常連となっていることを確認してみます。
ちなみに、市場全体ではなくあくまで個別銘柄です。市場全体の売買代金が2兆円を超えると活況とはいえ季節要因も考慮する必要があります。例えば夏休みのある8月と決算の集中する3月ではそもそもの基準が異なりますが、個別銘柄で見てみると売買代金の上位はかなり固定化されています。
いくつか代表的な銘柄を挙げてみます。
ソフトバンクはM&Aや保有株式の売却など話題に事欠かないだけでなく激しい値動きをしています。
グローバルでの技術変革が進む自動車業界はAIとの融合次第で優勝劣敗が決まるため、海外IT資本の動き一つで株価、出来高ともに動きやすい状態です。
AI搭載移動サービスではこのソフトバンクとトヨタの2社連合が国内を牛耳っていますが、海外では全く聞かれません。両社とも海外での事業展開に余念がないのですが、残念ながらAI自動車では苦戦しています。両者が提供する国内バスの車体は海外製ですし、デファクトスタンダードには及んでいないといことでしょう。
みずほフィナンシャルグループはSMBCや三菱東京フィナンシャルグループより改革・再編が遅れている為、株価も低迷したまま何年も経過していますが、市場からの圧力とも取れる下落+売買代金量ですね。
ファーストリテイリングはデフレの勝ち組と呼ばれた時代を経て、新たなブランド(GU)でチャネルを増やし、盤石の存在になりました。柳井会長の宣言通り世界のユニクロになり、市場は次の一手を期待していると言えます。
ソニーや日立は電気メーカーですが、ポートフォリオの再構築に余念がなく、グループ内企業の再編にはじまり事業売却まで進めているため、ニューストピックに欠かせない会社です。
過去10年を振り返ると、一気にメジャーになった会社も多数あり、その社名を聞くだけで「なるほど」と思ってしまいます。ご覧ください。
言わずと知れたスマホ用ロールプレイングゲーム「パズドラ」の大ヒットですね。
現在は2,000円台で安定した銘柄ですが、2013年には社会現象となったこともあり、株価も10,000円を超えるまで上昇しました。
こちらも同様にスマホの爆発的な普及と参加型ロールプレイングゲーム「モンスト」の大ヒットにより、当時低迷していた同社の株価をはね上げました。
1,100円台で推移していた当時の株価は一気に7,500円まで上昇しましたので売買代金の量も連日の上位でした。
いまでは知らない人はいない同社ですが、もともとは東証ジャスダック上場でした。
そして、2013年12月に東証一部への市場替えが承認されたことで、同社の注目と期待度が一気に増大したため、売買代金が増加したものでした。
この社名を聞いて意外と思った人も多いでしょう。
現在の40代以上の人はご存知でしょうか。2010年に信販会社の設定をしていた貸出金利が出資法の上限29.2%について利息制限法の上限を超えていると最高裁で判断され、超過分の返還命令を受けました。
当然ですが、オリコも債務者への返還債務で業績が悪化し、メインバンクの融資設定、資本参加等の手を尽くした時代です。株価も100円を下回り、危機的な水準で推移していました。
ところが、2014年に入ると自民党から出資法上限の29.2%に戻す法案を提出する動きがあると報道されたため、業績回復を期待して売買代金は急上昇したのです。
株価もピークで300円近くまで上昇しましたが、結局はこの話が実現することはなく、元の水準に弑し、今なお株価は低迷しています。
いかがでしょうか。
売買代金の量は世間の関心の高さを図る正確な物差しであると言えます。
初心者はこの売買代金を気にかけることからスタートすると思いますが、ある程度の経験を積めば売買代金の多い理由を考えてみると一層の理解が進むはずです。
売買代金上位常連銘柄の戦略や業績を把握しておくことで自分なりに銘柄やトレンドを養う目が育つことでしょう。