「空売り比率が高いとどうなるか知りたい?」
この記事は空売り比率について知りたい人に向けて書きました。
空売り比率が高いと何を意味するか、確認方法、間違いやすい注意点などをお伝えしています。「空売り比率について詳しくなりたい!」という人の役にきっと立ちます。
目次
はじめに空売り比率がどんな指標なのかを知っておきましょう。
空売り比率とは、1日の売り注文全体の売買代金に対して空売りがどの程度あるかを集計した指標です。
株の売りには現物売りと信用売りがあります。
現物売りと信用売りの違い
現物売りは投資家が保有してる株を売ることを指し、信用売りは投資家が借りている株を売ることです。空売り比率は後者の株数の比率を表すのです。
ちなに、計算式は「空売り比率(%)= 空売り金額 ÷ 売り注文の合計金額 × 100」となります。
例えば、空売り金額が10億で売り注文の合計金額が50億の場合、「10億÷50億×100=20」となり、空売り比率は20%です。この場合、売り注文全体に対して空売りが20%あったという意味になります。
空売り比率が高いとどうなるのかですが株価上昇の兆しとして判断されます。
将来、株を買い戻す人が多くなる可能性があり株価が上昇しやすくなるからです。
空売りは貸借契約ですので返済期限があり、将来必ず買い戻さないといけません。制度信用取引であれば返済期限は原則6ヶ月です。
「空売り比率が高い=空売りしている投資家の数が多い」となります。空売りしている投資家の数が多いと借りている株を買い戻す投資家が多くなります。このため、空売り比率が高いと買い戻しによる株価上昇が期待されるのです。
空売り比率の数値の目安は以下のとおりです。
空売り比率の数値の目安はこの3つ
20~30%が通常の状態です。20%以下になると高値圏で株価下落の予兆となり、30%以上だと底値圏で株価上昇の予兆となります。
空売り比率が低くなるほど天井打ちの可能性が上がり、逆に高くなるほど底打ちの可能性が上がると覚えておけばOKです。
空売り比率は「東京証券取引所(日本取引所グループJPX)」が日々公開しています。
上記表の「空売り(価格規制あり)」と「空売り(価格規制なし)」の欄の比率を合計したのが空売り比率です。表のケースですと「36.4%+7.1%=43.5%」となり、空売り比率は43.5%になります。
なお、「空売り(価格規制あり)」というのは「空売り価格規制」の銘柄のことです。
空売り価格規制とは、株価を意図的に下落させて相場を混乱させる動きを阻止するための措置です。対象となるのは前日の終値から、10%以上価格が下落して取引が成立している銘柄となります。
例えば前日の終値が100円ならその10%以上となる10円以上の下落をすると、空売り価格規制の対象です。
空売り比率は「空売り残高比率」とよく勘違いされることが多いので要注意です。
空売り比率と空売り残高比率は違います。
空売り比率はここまで解説してきたとおり、「1日の売り注文合計(売買代金)に対しての空売りの比率」です。
それに対して空売り残高比率とは、「1日の出来高に対しての空売り残高の比率」となります。
計算式も異なり、空売り比率は「空売り比率= 空売り金額 ÷ 売り注文の合計金額 × 100」ですが、空売り残高比率は「空売り残高比率=信用売り残高÷1日の出来高×100」です。
また、空売り比率は市場全体の指標ですが空売り残高比率は銘柄個別の指標です。従って銘柄ごとに確認することが可能となります。
2つの指標に共通しているのは比率が高くなるほど上昇の可能性がでてくることです。「比率が高い=空売りの数が多い」ですので、買い戻しによって株価が上昇する可能性があるのです。
空売り比率と空売り残高比率の違いをまとめると以下のとおりになります。
空売り比率 | 空売り残高比率 |
---|---|
1日の売り注文合計に対しての空売りの比率 計算式は「空売り金額 ÷ 売り注文の合計金額 × 100」 市場全体の指標である | 1日の出来高に対しての空売り残高の比率 計算式は「信用売り残高÷1日の出来高×100」 銘柄個別の指標である |
空売り比率とは、1日の売り注文全体の売買代金に対して空売りがどの程度あるかを表した指標です。
空売り比率が高いと将来、株を買い戻す人が多くなる可能性があり株価が上昇しやすいと判断することができます。空売りは返済期限がありそれまでに買い戻さないといけないからです。
そんな空売り比率の目安は以下のとおり。
基本的に空売り比率が低いほど天井打ちのサインとし、逆に高いほど底打ちのサインとして使います。
なお、空売り比率は「空売り残高比率」と間違いがちですので注意しておきましょう。