「50単元以下の注文なのに空売り規制に接触してしまった・・・」
このように混乱している人は多いようです。とくに株の初心者だとそうなってしまいがちなようです。
結論から言いますと、50単元以下の注文でも空売り規制になることはあります。
そして最悪の場合、罰金が課されこともあるのです。
そうした事態を防ぐためにも、どんなケースだと50単元以下の注文で空売り規制に接触するのか正しく理解しておくことは必須です。
この記事を読めば、空売り規制の仕組みが分かるためぜひ参考にしてください。
目次
50単元以下で空売り規制に接触することがあるのは次のようなケースです。
時間を分散させて注文を出したとしても、空売りの合計注文が51単元以上だと空売り規制に接触します。
例えば、空売りの規制になっている銘柄に以下のように空売りの注文を出したとします。
発注時刻 | 注文数 | |
---|---|---|
注文1 | 9時 | 20単位 |
注文2 | 11時 | 25単位 |
注文3 | 14時 | 30単位 |
上記の場合、発注時刻は分散されているものの合計で75単位の注文が出ています。
このケースでも空売り規制に接触するのです。
複数の口座から注文出し、空売りの合計注文が51単元以上だと空売り規制に接触します。
例えば、次のようなケースです。
証券会社名 | 注文数 |
---|---|
A証券 | 10単位 |
B証券 | 30単位 |
C証券 | 20単位 |
上記のケースでは、合計60単元の注文が出ています。注文している証券会社は別々ではあるものの、51単元以上の注文と見なされ空売り規制の対象です。
空売り規制は証券取引所のルールであるため、別々の証券会社で合計51単元以上の注文を出しても接触してしまうのです。
50単元以下で空売り価格規制になると最悪罰金となり、30万円以下の過料処分が課される場合があります。
理由は「空売り価格規制違反」に接触してしまう恐れがあるからです。
空売り価格規制違反とは、空売り規制の対象である銘柄に意図的な分割発注をすることです。
この空売り価格規制違反には金融商品取引法施行令に基づいて、30万円以下の過料処分が課される場合があるのです。
たとえ故意でなかったとしても、空売り規制の対象である銘柄に分割発注で51単元以上の空売りをすると空売り価格規制違反になる可能性もあります。
そのため、気を付けておきたいです。
ここからは、補足として株の空売り規制について解説しておきます。
「もう十分理解できているよ!」という人は読み飛ばして構いませんが、そうでない人は復習のつもりで確認しておいてください。
空売り規制とはどんな制度かですが、当日の基準価格(通常前日の終値)から10%以上下落した銘柄に対し、51単元以上の新規空売りを禁止するという制度です。
例えば、当日の基準価格が300円の銘柄Xがあったとします。
その銘柄Xが30円以上下落して当日の基準価格から10%以上の下落となりました。
こうなると銘柄Xには51単元以上の空売りはできません。
51単元以上というのは100株で取引する銘柄なら5,100株です。1,000株なら51,000株になります。
51単元以上の空売り注文を出してもその注文はすべてキャンセルされるため、気を付けてください。
空売り規制の適用期間は基準価格から10%以上下落したその直後から適用され、翌営業日まで適用されます。
よって、空売り規制が解除されるのは翌々営業日となり、空売り規制となってから基本2日後です。
銘柄によっては複数の市場に上場しているケースがあり、その場合は空売り規制の適用期間が異なるケースがあります。
例えば、次のように3つの市場に上場している銘柄があったします。
主たる市場である東証1部で空売り規制になった場合は、すべてが空売り規制の対象です。
それに対して、主たる市場以外の東証2部とジャスダックで空売り規制になったときはその市場のみが対象です。
仮に東証2部で空売り規制になったら対象は東証2部のみです。東証一部とジャスダックは空売り規制の対象になりません。
空売り規制と間違いやすい規制に「売り金」というものがあります。
売り金とは、新規の空売りが一切停止された措置です。
おもに信用買いに対して信用売りの数が極端に増えてしまい、証券会社が株券の調達が困難になった場合に行われます。
空売り規制では50単元までなら空売りできますが、売り金は一切の空売りができません。
また、翌営業日に解除される空売り規制とは異なり、売り金はいつ解除されるかも不明です。
このように、空売り規制と売り金は似ているようでまったく異なる制度であると覚えておきましょう。
50単元以下の注文で空売り規制に接触してしまうのは次の2つが原因です。
上記のような分割注文で空売り規制に接触すると「空売り価格規制違反」になる恐れがあります。
空売り価格規制違反になると最悪罰金となり、30万円以下の過料処分が課される場合があるため十分気をつけてください。