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株に強制ロスカットはある?【強制的に保有株が決済されるか回答】

FXには「強制ロスカット」があり、保有ポジションがすべて決済されることがあります。

では、株ではどうなのでしょうか?

この記事では、株に強制ロスカットはあるのかについて回答しています。

目次

株式投資に強制ロスカットはあるの?

結論から言いますと、株式投資に強制ロスカットという言葉はありません。

強制ロスカットはFXで使用されるものだからです。

FXでは「レバレッジ」があり、担保金を預けて口座資金以上のお金で取引ができます。10万円の資金で10倍のレバッジなら100万円の取引が可能です。

そのため、場合によっては口座資金がマイナスになってしまうこともあります。それを防止するための措置が強制ロスカットです。

それに対して、株は「現物取引」が基本です。

現物取引では口座資金以上の取引はできません。口座資金が10万円なら取引額は10万円までです。よって、損失も口座資金以上になることはありません。

ただし、株には「信用取引」があり状況よっては「追証」という状態になり、すべての保有株が決済されることもあります。

よって、FXの強制ロスカットと似たような状態になることはあるのです。

詳しくは次章でお伝えしていきます。

信用取引の「追証」とは

信用取引の追証とは「追加保証金」の略であり、「委託保証金」が不足してしまい追加で入金しないといけない状態を指します。

委託保証金とは
信用取引では証券会社に委託保証金という担保金を預けて取引します。委託保証金は法令で約定代金の30%以上必要とされており、最低でも30万円円以上です。

追証について理解するなら以下の3つの用語を覚える必要があります。

  • 委託保証金率
  • 委託保証金維持率
  • 最低保証金維持率

委託保証とは

委託保証金率とは、取引額に対して必要な委託保証金の割合です。

法令で約定代金の30%以上が最低30万円以上が必要と決まっています。

計算方法は以下のとおりです。

委託保証金維持率=委託保証金(現金+保有株の損益)÷建玉約定代金×100

例えば、委託保証金が100万円で建玉約定代金が200万円なら次のように計算します。

100万円÷200×100=50

上記の場合、委託保証金は50%です。

委託保証金維持率とは

委託保証金維持率とは、証券会社のルールによって決められた保証金維持率です。

基本的には委託保証金率と同じですが、細かい部分に証券会社の独自ルールがある場合があります。

とはいえ、そこまで大きな違いはため差ほど気にする必要ありません。

現在の委託保証金維持率がどのくらいかは証券会社の取引ツールで確認可能です。

最低保証金維持率とは

最低保証金維持率とは、証券会社が定める追証が発生する基準です。

「委託保証金維持率がこの数字を割ったら追証になる」というものです。

最低保証金維持率は各社によって異なります。

証券会社最低保証金維持率
auカブコム証券20%
楽天証券20%
松井証券20%
SBIネオトレード証券25%
日興イージートレード25%

例えば、楽天証券であれば委託保証金維持率が20%を割ると追証が発生します。

信用取引で追証が発生する仕組み

信用取引で追証が発生するのは、委託保証金維持率が取引中の証券会社の最低保証金維持率を下回ったときです。

例えば、以下の状況で取引しているとします。

委託保証金200万円
建玉約定代金500万円
最低保証金維持率20%

まず、取引スタート時の委託保証金維持率は以下のとおりです。

200万円÷500万円×100=40%

この委託保証金維持率40%が20%以下になってしまうと追証が発生するのです。

例えば、株価が値下がりして委託保証金が200万円から90万円になってしまうと委託保証金維持率も低下します。(委託保証金は現金+保有株の損益で計算するため)

90万円÷500万円×100=18%

上記では委託保証金維持率が18%と20%以下になっているため、追証が発生します。

追証を解消するための方法はこの2つ

追証を解消するためには、委託保証金維持率を最低保証金維持率以上にする必要があります。

最低保証金維持率が20%なら20%以上にするということです。その方法は次の2つになります。

  • 追加入金する
  • 健玉を決済して返済する

口座に追加入金して委託保証金維持率を回復させれば、追証は解消されます。

健玉を決済して返済することでも委託保証金維持率を回復できます。返済した額の一部が追証額から差引かれ、追証の一部または全額が解消されるからです。

決済した健玉の金額がどのくらい返済されるかは証券会社によって異なります。

証券会社返済額
SBIネオトレード証券30%
日興イージートレード30%
auカブコム証券20%

例えば、SBIネオトレード証券は決済額の30%が返済に当てられます。決済額が100万円なら30万円まで返済に使うことが可能です。

追証は自然解消されないため注意!

「追証になっても相場が回復すれば自然解消されるのでは?」と思う人もいるかもしれません。

しかし、追証は自然解消されることはありません。

一度追証になると相場が回復して、委託保証金維持率が最低保証金維持率を上回っても追証の解消にはならないのです。

例えば、最低保証金維持率が20%のときに委託保証金維持率が15%になって追証が発生したとします。その後、相場が回復して委託保証金維持率が15%→25%などとなっても、追証は解消されません。

不足金を支払わないと追証の解消にはならないため注意してください。

追証を解消しないとどうなるのか?

追証を解消しない場合、以下のようなデメリットが発生します。

  • すべての健玉が反対売買によって決済される
  • 信用取引の停止
  • 遅延損害金の発生
  • 支払いの催促

すべての健玉が反対売買によって決済される

期日までに追証が解消されないと、すべての健玉が反対売買によって決済されます。
すべての健玉であるため、現物取引・信用取引含めて保有している銘柄が全部決済されてしまいます。

期日は追証が発動してからの翌々営業日までです。時間は大体お昼の11時~0時頃が多いですが証券会社によって異なるため、お使いの証券会社の公式サイト等で確認しておきましょう。

信用取引の停止

追証を解消しないでいると信用取引ができなくなります。

信用取引の復活を行なうには追証を解消してから再度、信用取引の審査を受けなくてはいけないケースもあり、非常に手間です。

審査の結果、審査落ちになることもあり、もう信用取引が出来なくなることもあるようです。

遅延損害金の発生

証券会社によっては追証に「遅延損害金」が発生することもあります。

遅延損害金とは、支払い遅れに対する罰則金です。

例えば、GMOクリック証券では年14.6%の遅延損害金が発生します。

遅延損害金は以下のように計算します。

遅延損害金=追証額×遅延損害金利率÷365×遅延日数

仮に追証額が10万円で遅延損害金利率14.6%、遅延日数が20日なら以下のとおりです。

10万円×14.6÷365×20日=799円

遅延損害金は遅延日数に掛かるため、遅延日数が増えるほど増大します。よって、遅延損害金があるときは1日でも早めに追証を解消してください。

支払いの催促

追証を解消しないでいると証券会社からメールや電話で支払いの催促があります。

支払いの催促は気持ちの良いものではありません。精神的なストレスになってしまうでしょう。

また、あまりにも長引くと取引停止や口座凍結などのリスクもあるため、1日でも早く解消するようにしてください。

追証を回避するための4つの対処方法

追証が借金と同じであるため回避すべきものです。

追証を回避するには次の4つの対処方法が有効です。

  • レバレッジを抑える
  • 損切り基準を作り守る
  • 追加入金をする
  • 信用二階建てをしない

レバレッジを抑える

レバレッジを抑えるようにしましょう。

信用取引では最大3.3倍までレバレッジを掛けることができ、口座資金よりも大きなお金で取引ができます。

これはメリットなのですがデメリットでもあります。

損失になったときの金額が大きくなり、委託保証金維持率を大きく下げるため、追証ラインに引っかかりやすくなるのです。
そのため、レバレッジは上げすぎないようにしておくのがおすすめです。

損切り基準を作り守る

損切り基準を作り守ることも重要です。

損切り基準がないとどこで撤退して良いか分からずに、大きな損失を出してしまう恐れがあります。

また、損切り基準を決めたとしてもそれを守らないと意味がありません。

損切りをしっかりすることで損失を最小限に抑えることができ、委託保証金維持率をキープすることに繋がるため、追証も防げます。

追加入金をする

資金に余裕があれば追加入金も有効な手段です。

追加入金すれば委託保証金維持率は上がるため、追証を回避しやすくなります。

とはいえ、この手を使うのは相場の回復の見込みがあるときのみにしておきましょう。何の根拠も無く、追加入金して追証を先延ばしにするのはおすすめしません。

信用二階建てをしない

信用二階建てはリスクが高いため避けましょう。

信用二階建てとは、同じ銘柄を現物買いと信用買いで取引する方法です。

具体的には、現物買いで購入した株式を担保にして信用買いをします。これによって、レバレッジが高まるという効果があります。

例えば、100万円の株を取引するとします。

信用買いの場合、担保金にできるのは一般的に80%であるため、100万円の株なら80万円が担保金です。この80万円を最大3.3倍までレバレッジが掛けられます。

80万円×3.3倍=264万円

信用二階建てでは、上記の264万円に加えて現物買いの100万円まで取引できるのです。よって、最大で364万円の取引が可能です。

ただし、レバレッジが高まった分だけリスクも高いです。

株価が下がってしまったとき現物買いと信用買い、ダブルで損失を負うことになります。

通常よりも委託保証金維持率が下がるスピードも早いため、追証になりやすくおすすめできる取引方法ではありません。

まとめ

株式では強制ロスカットはありません。しかし、信用取引に「追証」がありこれが強制ロスカットと同じような役割を持っています。

追証が発生するのは、委託保証金維持率が取引中の証券会社の最低保証金維持率を下回ったになります。

追証を解消するためには委託保証金維持率を最低保証金維持率以上にする必要あり、その方法は次の2つです。

  • 追加入金する
  • 健玉を決済して返済する

追証を解消しないと以下のようなデメリットが発生するため、早急に解消するようにしましょう。

  • すべての健玉が反対売買によって決済される
  • 信用取引の停止
  • 遅延損害金の発生
  • 支払いの催促

追証を避けるための対策として有効なのは以下の4つです。

  • レバレッジを抑える
  • 損切り基準を作り守る
  • 追加入金をする
  • 信用二階建てをしない

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