株式投資において板の見方を知ることはとても重要なことです。板の見方を知ることであなたが注目している株式がこれから「買われる」のか「売られるのか」予想することが可能となります。
この記事では株式投資初心者向けに板の見方について詳しく分かりやすく解説していきます。
目次
板とは上の画像のように買い方と売り方の指値注文を並べたものです。
左側の「売気配株数」には売り注文が上から価格が高い順に並んでおり
右側の「買気配株数」には買い注文が下から価格が安い順に並んでいます。
中央は売り注文と買い注文が最も近い値となっています。
上の画像の場合、買い方の中で最も高い指値注文は「557円で100株」です。また、最も安い売り注文を出しているのは「564円で700株」です。
ここに表示されている株数は全ての指値注文の合計値となっています。
また、売気配値も買気配値も10個分の株価しか表示されていませんが、実際にはそれ以上の売気配値とそれ以下の買気配値もあります。
表示されていない売気配株数の合計が「OVER」、表示されていない買気配株数の合計が「UNDER」と表示されます。
株価は需要と供給により決定します。
つまり買いたい人と売りたい人の値段が重なったとき株価は決定します。
分かりやすく下の画像で説明します。
買い注文の中で最も高い指値を出しているのは557円100株です。
逆に売り注文の中で最も安い指値を出しているのは564円で700株です。
買い人と売りたい人の金額が一致していません。
この場合、取引は成立せず株価は決定しません。
この板で、株価が決定するのは以下の4パターンのいずれかです。
つまり買いたい人の値段に合わせて売り注文を出すか、売りたい人の値段に合わせて買い注文を出す。
もしくは成行売り注文か成行買い注文を出すことです。成り行き注文は最も近い気配値で約定します。
板は特定の条件を満たすときに文字が表示されます。今回は下記3つの文字の意味について説明していきます。
「前」もしくは「寄」は「寄り付き前」を示します。
例えば日本の株式市場で東証の取引時間は平日の9:00~11:30と12:30~15:00です。
9:00~11:30を前場、12:30~15:00を後場と言います。
前場は9:00からスタートしますが、注文は8:00から受付を開始し9:00になるまでに板が形成されていきます。この8:00から9:00までの時間の板で、最も高い買気配値と最も安い売気配値に「前」もしくは「寄」が表示されます。
後場の場合は後場が始まる30分前、つまり12:00~12:30までは最も高い買気配値と最も安い売気配値に「前」もしくは「寄」が表示されます。
ちなみにこの8:00から9:00と12:00から12:30の注文は板に表示されるだけであり、約定はしません。
仮に寄り付きが想定外の株価になりそうな場合や、考え直したい場合などは注文を取り消せるのでこの時間を有効に活用しましょう。
「特」は「特別気配」を示します。
特別気配とは、大量の買い注文もしくは売り注文が入り現在の株価に対し一定の値幅以上変動してしまう場合に表示される文字です。
特別気配中は3分間約定することなく取引が停止されます。投資家に十分な考える時間を与えパニックにならないようにする措置です。
3分後でもまだ一定の値幅以上変動するような板の場合、気配値が上昇もしくは下降します。それでも一定の値幅以上変動してしまう場合は、上記内容を繰り返します。
買い板に「特」表示がある状態を「特買い」、売り板に「特」表示がある状態を「特売り」と言います。
値幅制限まで上昇しても特別気配となっている状態を「ストップ高」、逆に値幅制限まで下降しても特別気配となっている状態を「ストップ安」といいます。
上記画像は特別気配のストップ高とストップ安です。
投資家であるならば一度はストップ高を経験してみたいものですね。
「連」もしくは「K」は「連続約定気配」を示します。
連続約定気配とは約定を伴いながら、その直前の約定値段から更新値幅の2倍の値を超えながら値段が上昇もしくは下降した場合に表示される文字です。
簡単に言えば、ものすごい勢いで買い注文(or売り注文)が連続で一方的に入ったときに発生する表示です。
連続約定気配が表示された場合は1分間約定を止めて反対注文が入る時間が設けられます。それでもなお、反対注文が入らない場合は「特」の表示に変わり特別気配となります。
連続約定気配の制度は2010年から導入されています。
成り行き注文は板には表示されません。
板を見ていたら急に株価が大きく変動した経験はありませんか?
それは大量の成行注文が入ったか、即約定する指値注文が入った可能性があります。
株価が急に大きく変動したら大口が参入した可能性もあります。株価を注視しましょう。
板の見る上で重要なことは以下の3つあります。
上記3つについて詳しく説明していきますね。
板の見る上で重要な1つ目のことは、「買い方」か「売り方」どちらが有利か判断することです。
上の画像を見てどちらが有利か分かりますか?
答えは「買い方」が有利です。
理由は「買気配株数」と「売気配株数」を見ればわかります。
「買気配株数」は548円から556円までそれぞれ1,000株から8,000株程度ずらっと並んでおり板が厚いことが読み取れます。
それに対し「売気配株数」は564円から576円までそれぞれ100株から1,200株しかなく板が薄いことが分かります。
つまり、買いたい人が多く、売りたい人は少ない状況だということが分かります。よって「買い方」が有利だと言えます。
但し、100%株価が上がるというわけではなく、あくまでどちらかといえば買い方が有利だということなので注意して下さい。
板の見る上で重要な2つ目のことは、スカスカな板は要注意することです。
上の画像のように気配値も飛び飛びで株数も最小単元に近いような板は注意が必要です。
わずかな資金で株価が乱高下するので、何かをきっかけに一瞬で暴落も暴騰もあり得ます。
このような株式を購入する場合は特に損切りラインを明確にし、指値注文で損切り注文を出した状態にしておくことをおすすめします。
板の見る上で重要な3つ目のことは、見せ板に注意することです。
見せ板とは約定させるつもりがないのに、大量に売りや買いの指値注文を見せつけ個人投資家の心理を揺さぶる手法です。
主に機関投資家や大口投資家が使う手法で、気配値が見せ板付近になるとその注文を取り消し、約定しないようにします。
上の画像をご覧ください。1,500円の買気配値が781,500株あり他の買気配値の約30倍もの株数が指値買い注文として出されています。
「見せ板」のことを知らない個人投資家はどう思うでしょうか?
きっと「1,500円に大量の買い指値注文があり1,500円以上は安泰なので1,500円以上で買おう」と思うことでしょう。
これが罠であり、個人投資家に1,500円以上で売りつけ売りさばいた後に1,500円の指値買い注文を取り消します。
すると1,500円以下にはならないと安心していた個人投資家の心理状況は一転し、株価が1,500円以下になるとパニック売りが始まります。
パニック売りに乗じて機関投資家は買い戻すのです。これが見せ板の目的であり狙いです。
明らかに不自然な大量の指値注文があった場合は、「見せ板かもしれない」と疑う習慣をつけましょう。
株式投資において板の見方を知ることはとても重要なことです。
本記事でお伝えした板の見方についてまとめましたのでご覧ください。
板の見る上で重要な3つのこと
板の見方を知らずに株式投資をすることは交通ルールを知らずに車の運転をする程、危険なものです。
板の見方を知ることでその株式の今後の動きや注意するべきことを理解して株式投資を行いましょう。