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空売り比率の計算式は?数値を簡単に出す方法を解説

空売り比率は、将来的な株式相場の方向性を示すシグナルとなる可能性がある指標の一つです。一方で、「空売り比率」という言葉のみ知っている方や、仕組みや具体的な計算方法は説明できないという方も多いのではないでしょうか?

今回の記事では、空売り比率の計算式の解説や求める方法について解説していきます。空売り比率の理解を深めたい方は必見です。

目次

空売り比率とは

空売り比率とは、簡単に言うと市場全体のすべての売り注文のうちに占める、空売り注文の割合を示した値のことを言います。つまり、「世の中のどれだけの人が空売り注文をしているのか」がわかるのです。

一般的に、空売り比率が大きいと、空売り注文に熱が帯びている状況、逆に空売り比率が小さいと、空売り注文の熱は冷めていることを示します。過去の経験則からいうと、20%~30%程度で推移することが多い印象です。

そのため、空売り比率が20%を下回った場合には、相場がトップをつける可能性が高まります。一方で、30%を上回った場合には、相場はボトムをつけやすくなる傾向があります。しかし、近年は機関投資家の空売り比率が高まっているほか、個人投資家の参入も増えてきたという背景から、空売り比率のベースラインが30%付近で推移している銘柄やファンドも多く存在します。一概に空売り比率の基準値を設けるのではなく、銘柄ごとの空売り比率の推移から判断することが重要です。

空売り比率の計算方法について

空売り比率を求める方法を投資関連メディアやサイトでよく目にしますが、すべてが正しい空売り比率を示しているとは限りません。世間的によく言う「空売り比率」とは、「正しい空売り比率」「空売り残高比率」に分かれています。厳密に言えば、この二つは似ているようで全くの別物であるため、専門家でさえも間違って使っているような場合もあります。ここからは、正しい空売り比率の計算式と、相対する空売り残高比率の計算式を紹介します。

空売り比率の正しい計算式

空売り比率は、以下の計算式によって求められています。

空売り比率(%)=一日の空売り金額÷一日の合計売り金額×100

一日の株式取引のうちどれほどの割合が空売りによる取引であったのかを、合計売り金額から算出することができるという仕組みです。ちなみに、合計売り金額とは、当日の売り注文による取引金額のことを指すため、「売買代金」とも言えます。

空売り残高比率の計算式

空売り比率とよく混同して使われているのが、空売り残高比率です。その計算は、以下のようにして導かれています。

空売り残高比率(%)=信用売残÷平均出来高×100

信用売残とは、空売り注文を入れている株式のうち、まだ買戻しが行われていない株式の割合を示すものです。また、平均出来高とは30日や90日といった一定日数の売買取引による出来高の平均を示した値のことであり、一日の売買代金ではないことにも注意が必要です。

空売り比率の解釈を間違えているアナリストやサイトの中には、空売り残高比率を求める計算式のうち、平均出来高の項目を一日の出来高として認識している場合があります。計算式に出すと、以下の通りです。

空売り残高比率(%)=信用売残÷一日の出来高×100

確かに、この計算式も空売り残高比率としては正しいものですが、空売り比率ではない点に注意しましょう。

空売り比率の定義としては、上記の空売り残高比率が用いられている時代もありました。そのため、一昔前のメディアや高齢のアナリストが多く使っている印象です。認識のずれがあった人もこれを機に、空売り比率を正しい認識で覚えるようにしましょう。

空売り比率を簡単に調べる方法

では、正しい空売り比率はどのようにして算出すればよいのでしょうか。ここからは、空売り比率を東京証券取引所が公表するデータから簡単に調べる方法やポイントについて、手順を追って解説していきます。

東京証券取引所の公表データを参照

東京証券取引所では、営業日ごとの取引データを公表しています。データの閲覧は、東証のウェブページから「マーケット情報」→「空売り集計」にて行うことができます。

引用:「東京証券取引所ウェブページ」https://www.jpx.co.jp/

空売り集計のPDFを開くと、以下のようなデータを閲覧することができます。

引用:「空売り集計」https://www.jpx.co.jp/markets/statistics-equities/short-selling/nlsgeu000006dtb4-att/220502-m.pdf

例えば、2022年5月2日時点の空売り比率は、37.1%+7.5%=44.6%となります。この足し算の意味は、本記事の以下で詳しく解説していきます。

空売り(価格規制あり)と空売り(価格規制なし)の違い

東京証券取引所が公表している空売り比率のデータを見ると、「空売り(価格規制あり)」「空売り(価格規制なし)」の二つの項目があります。この違いは、51単元以上の空売り注文の規制がかかっている取引かどうかです。

簡単に言うと、ヘッジファンドなどのプロ投資家は大きな単元数を取引し、市場価格に影響を及ぼしてしまうのを防ぐため、価格規制がかかります。一方で、個人投資家の空売りには、大きな金額が動くことはまれであるため、規制がかからないことがほとんどです。空売り比率を算出するときには、価格規制がかかっている空売りと、規制がかかっていない空売りの二つを合計して考える必要があるのです。

2013年の制度変更について

2013年の空売り規制に関する制度変更によって、空売り比率は上昇傾向があります。制度変更の具体的な内容は、以下の2つです。

  • 空売り銘柄の買戻しが複数回可能になった
  • 51単元以上の空売り規制が緩和された

まず、従来の空売りは当日の売り注文を買い戻す行為は1回のみしか許されていませんでしたが、これが複数回可能となりました。これにより、一日のうちに空売りと買戻しを連続する取引が、空売り比率を高める方向に影響してきています。

また、いわゆる「51単元規制」によって、かつては51単元以上の銘柄の空売りは禁止されていましたが、2013年の制度変更によって前営業日終値から10%以上暴落した銘柄のみがこの規制の対象とされるようになりました。これにより、空売りの全体数が多くなったため、空売り規制の基準値が2013年以降は上昇していったのです。

信用取引に参入する指標として空売り比率を使おう

空売り比率は、将来的な株式相場の方向性を示すシグナルとなる可能性がある指標の一つです。一般的に、空売り比率が大きいと、空売り注文に熱が帯びている状況、逆に空売り比率が小さいと、空売り注文の熱は冷めていることを示します。

必ずしも空売り比率をメインの指標として投資判断をする必要はありませんが、信用取引の市場の過熱感や経済動向のトレンドを掴むためには重要な指標です。あなたも是非、信用取引に参入するときには、空売り比率を参考にしてみてはいかがでしょうか。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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