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機関投資家は空売りに有利?個人投資家との違いを紹介

「機関投資家は空売りに有利だ。」という言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。確かに、機関投資家と個人投資家の間には、資金力や分析力の差や規制等の違いがあります。

今回の記事では、機関投資家が個人投資家よりも空売りに有利と考えられる理由を解説していきます。

目次

機関投資家と個人投資家

「機関投資家」というと、資金力のある大口の投資家というイメージが湧く方が多いでしょう。機関投資家と個人投資家の空売りの比較をしていく前に、機関投資家と個人投資家の規定や範囲について解説していきます。

機関投資家とは

一般的に、機関投資家は顧客からの拠出金を投資資金として運用していく法人の投資家のことを指します。そのため、機関投資家の顧客の中には、個人投資家も含まれます。

具体的には、「生命保険会社」や「損害保険会社」、「投資顧問会社」や「投資信託会社」や「ヘッジファンド」、「信託銀行」や「普通銀行」や「信用金庫」、「年金基金」や「共済組合」などが該当します。

機関投資家は、個人投資家からの資金を拠出金として、大きな金額の大口取引が可能となるため、市場に与える影響力が大きいのが特徴です。

個人投資家とは

個人投資家は、個人で投資を行っている人を指します。そのため、個人投資家の範囲はかなり広いものと言えます。

例えば、デイトレードやスキャルピングのような短期投資をプロとして行う人から、iDeCo(確定拠出型年金)やNISA(少額投資非課税制度)といった国の節税、非課税制度を利用した長期投資を行う人も含まれます。

さらに、保険に加入している人や銀行口座を開設している人も、機関投資家への拠出金を捻出しているという点で立派な個人投資家と言えるでしょう。

機関投資家が空売りに強い理由

機関投資家が個人投資家よりも空売りに強いと考えられている理由は以下の4つです。

  1. 潤沢な資金力という武器がある
  2. ビックデータを活用した分析ができる
  3. 貸株制限を受けない
  4. 大株主との交渉の余地がある

機関投資家は、資産を運用する目的や運用する資産額が、個人投資家と大きく異なるため、空売りにおいてもメリットが生まれています。

潤沢な資金力という武器がある

機関投資家は、個人投資家から集めた潤沢な資金で株式投資を行っているため、業界では「大口」と呼ばれています。一般的に、投資によるトータルリターンは資金力の大きさによって大きな幅があります。理由は、複利効果の存在です。

例えば、個人投資家が年利5%で上昇するファンドへ毎月10万円を積み立てて10年間投資するとします。この場合、10年後の総投資元本は1200万円、受け取った総利息は約350万円で、全体として29.185%の実質金利を達成できます。

一方で、資金が潤沢な機関投資家は、はじめから1200万円を投資元本として扱うことが可能です。そのため、10年間追加投資を行わない場合でも、受け取れる総利益は約755万円で、全体として62.8895%の実質金利を達成できます。

機関投資家の潤沢な資金力は、空売り取引でも同様にメリットとなります。

ビックデータを活用した分析ができる

機関投資家の投資判断材料は、機関投資家や個人投資家から集めたビッグデータを活用して行う分析の結果です。株式の値動きは、過去の経験則や投資家心理の傾向から決定されます。

そのため、より多くの情報を収集できる投資家は、将来の値動きを予測する分析をより的確に行うことが可能です。顧客や市場から集めたビックデータを活用することができる機関投資家は、個人投資家より精度の高い分析により、空売りが成功する確率は極めて高いと考えられます。

貸株制限を受けない

機関投資家は、貸株制限を受けずに空売りを行うことができます。

空売りを行うとき、個人投資家は証券会社に空売り銘柄を借りる必要があります。そのため、証券会社の貸株調達に偏りが発生した場合、個人投資家は株不足による逆日歩を支払う必要が出てきたり、売り禁などの規制がかかったりする可能性があります。

一方で、機関投資家は人脈を駆使して大株主に直接株を借りることが可能です。そのため、機関投資家は空売りしたい銘柄の株を調達することができる限り、空売り銘柄の制限を受けないことになります。

大株主との交渉の余地がある

機関投資家が大株主から直接株を借りる場合、交渉により貸株料の値幅や返却期限を決定することができます

例えば、「100万株を借りるので、手数料を0.5%に設定しませんか?」「今回の貸株返却期日は○月○日でいかがでしょうか?」というように、具体的な相談をすることができるでしょう。

また、機関投資家は、大株主から直接交渉して設定した手数料に、上乗せした貸株料を設定して転貸することも可能です。個人投資家と比べて、大株主との交渉次第で手数料や返却期日の操作性が高いという点は、空売りを成功させるうえで大きなメリットとなるでしょう。

機関投資家と個人投資家の空売りを比較すると

ここでは、機関投資家と個人投資家の空売りの手法について詳細を比較していきます。以下の表は、両者の空売り取引の手法についてまとめたものです。

項目機関投資家個人投資家
賃株手数料大株主との交渉の余地あり1.10%~1.15%(ネット証券会社における制度信用取引の相場)
取引可能銘柄調達可能な銘柄すべて証券会社の空売り可能銘柄のみ
投資元本個人投資家が拠出した金額自己資金の限度額
50単元規制無しあり
分析ツール歩み値・枚数 取引の内容(現物・信用新規・信用返却など)歩み値・枚数

機関投資家は、個人投資家に比べて資金力、分析力などで大きなアドバンテージを持っています。そのため、空売りの成功確率が高く、圧倒的に有利であると言えるでしょう。

個人投資家のメリットを生かして空売りを

空売りにおいて機関投資家の資金力や分析力は、個人投資家を上回ります。

しかし、機関投資家は個人投資家から拠出した元本を堅実に増やして運用することを目的としているため、保守的になる傾向があります。また、短期や中期での成果を上げることを目標としているため、長期間の複利効果を最大限発揮することができない場合もあります。

一方で、個人投資家の多くは資産運用の方法の選択肢の一つとして空売りを行っています。場合によっては、機関投資家以上のリスク許容度を確保できることもあるでしょう。また、長期運用による複利効果の最大化を狙うことも可能です。

個人投資家は、機関投資家の空売り動向に注目しながらも、個人投資家のメリットを生かして空売りを行いましょう

最後までご覧いただきありがとうございました。

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